奈良の昔話
8月25日(土曜日) |
お日さん、お月さん、雷さん、の伊勢参り |
むかし、お日さんとお月さんが、一緒に伊勢参りに行く相談をしていました。 |
それを聞いたカミナリさんは、ゴロゴロ太鼓の音をさせて二人のところへ行くと、 |
「一緒につれてってくれ。」とたのみました。太鼓の音をうるさく思った |
お日さんとお月さんは、顔をしかめて、「ゴロゴロ言わないと約束するならね。」と |
いいました。カミナリさんは、「ごろごろ言うのは、」生まれつきだい。」と思ったけれど |
どうしても、伊勢参りに行きたかったので、おとなしく、ピタッと、太鼓の音をとめました。 |
そうして、お日さんとお月さんの前ではけっしてゴロゴロいわないと約束しました。 |
こうして、三人は、つれだって伊勢参りにでかけました。そのうち、 |
日もとっぷりくれたので、宿に泊まることになりました。一日いっぱい歩いて疲れた三人は、 |
よこになると、たちまち眠ってしまいました。ところが、夜中頃、カミナリさんは、 |
眠ったまま、ゴロゴロと太鼓の音をひびかせたので目をさました |
お日さんとお月さんは、耳にせんをして、布団をかぶりましたが、あまりうるさくて、 |
とうとうあさまで、眠れませんでした。それで、夜があけると、カミナリさんを残して、 |
さっさと出かけてしまいました。そのうち、目をさましたかみなりさんは、「よくねたわい。」と |
大きなあくびをすると、キョロキョロしました。お日さんと、お月さんのお姿が見えません。 |
「おーい、主人、お二人はどこえいかれた?」と宿の主人に聞くと、 |
「ああ、お二人なら、朝早く、出ていかれましたよ。」と、答えたので、 |
「しまった、それにしても、月日のたつのは早いなあ。」と |
カミナリさんは、ゴロゴロ泣きました |
月日のたつのは早いなあと、カミナリさんの落ちがついたところで |
お終い |