日本の民話・とんち話
                                                                                                    
       
3月11日
タ ニ シ で カ モ と り
村の庄屋さんは、いい鉄砲をもっているくせに、うで前の方は、からっきしだめ。
   みんなからひやかされてばかりいました。それが、ある日まぐれに当たって、
   はじめてのカモが一羽とれましたので庄屋さんは大変な喜びで、
   鉄砲の自慢ばかりしていますので吉四六さんは、私は、鉄砲を使わずして
   一度にたくさんのカモを、とって見せましょう。それも、庄屋さんの目の前で。
   これには、庄屋さんも、おどろいたり、怒ったり・・・・・
 「まあまあ、あしたの朝、私の家へちょくらよってください。」   
  つぎの朝、庄屋さんは吉四六さんの家に行きますと、吉四六さんは、長い長い丈夫な
   糸の先に、小さなつり針を付けたしかけを持って出て来ました。
   「さあ、庄屋さん、まいりましょう。」 「おいおい、なんだい、そりゃ魚つりにいくのではないよ。」
   「ま、さいくは、りゅうりゅう。仕上げをごらんなされ。」 二人は池へ出かけました。
  「では、この辺で始めますかな。つれるまでは、静かに願いますよ。」
吉四六さんは、糸をのばし、タニシの付いた針をポチャンと池へ投げ込みました。
鉄砲も使わず、こんなへんてこなしかけであの利口なカモがとれるものか。と
草がけで庄屋さんは、ぶつぶつもんくを言っていました。
 なんだか騙された気がしてきた時、 「シーッ、おしずかに・・・・・。そーら、きましたよ。」
言われた方の空から、カモが五,六羽、すーつと池におりてきました。と
そのうちの一羽が、たちまち、吉四六さんのしかけたタニシを見つけて、
パクッとのみこみました。「しめしめ、しめこのウサギじゃ。とくとごらんなされ。」
  そのカモは、ブルンとおしりをふると今、飲み込んだタニシがコロッと出てきました。、
きっとタニシが固すぎたのでしょう。すると、となりのカモがすばやく
出て来たタニシをパクッ。そして又、コロッと出しました。
また、そのとなりのカモがパクッ。そしてコロリ、こうして、
  「や、ややー、」 庄屋さんは、びっくり。思わず大声を出しました
その声におどろいて、カモたちは一列につながったまま、
バタバタと空へ飛びあがりました。糸のはしを持っていた吉四六さんも
いっしょに空へ舞いあがってい行きました。
「じゃあ、庄屋さん、お先に・・・・。おいしいカモなべをどっさりつくって待っていますから、
  あとからどうぞ。」 庄屋さんはボカーンと、していました。
終わり