奈良の昔話

8月25日(土曜日)                     
てんぐのケンカ

あるとき、神野山の赤てんぐと、伊賀の青てんぐが、ケンカを始めました
赤てんぐと青てんぐは、タソジという元気のいい男の子を「弟子にしたい。」と思ったからです。
タソジは、荒っぽいことが大好きで、いつも神野山のてっぺんで「エーイ、エーイ。」と
ぼうをふりまわしていましたが、その声がこだまして、とおい伊賀の山まで聞こえてきたので、
てんぐが目をつけ、「おーい、タソジ。おれは伊賀の青てんぐだが、でしにならないか。」
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声をかけてきましたが。それを聞いた神野山の赤てんぐは、「タソジは、わしが目をつけた子だから、
お前の弟子にするわけにはいかない。」と、いいました。そこで、二人のてんぐは、
「先ににいいだしたのはおれだ。」「いや、先に目をつけたのはわしだ。」といいあいを始めました。
ビックリしたのはタソジです。「よし、勝った方の弟子にろう。」と、
杉の木にのぼって見物していると、そのうち、伊賀の山の方から、
小さい石のようなものが凄い速さでとんでくると、みるみる大きな岩になって、

神野山に「ドーン。ドーン。」と落ちてきました。岩はあとから、あとから飛んできました。
それを神野山のてんぐは、とびっきりの術をつかって、ヒラリ、ヒラリとかわすと、
「伊賀の山は今に、はげやまになるぞ。」とどなりました。タソジは飛んできた岩が、
今にも下の村に落ちないかと、心配になったので、「もうケンカはやめてくれ。」
といいました。「よし、わしがとめてやろう。」といって、神野山のてんぐが、

ぐっと伊賀の山をにらむと、ピタリと岩が飛んでこなくなりました。
「ワッハッハ、わしにはかなうまい。」というので伊賀のてんぐはそれっきりかくれてしまいました。
こうして、神野山のてんぐの弟子になったタソジは、たちまち、とびきりの術をおぼえると、
村からと遠い奈良の町まで、ひと飛びでいったので、村の人たちから、
「タソジのてんぐとび」とよばれるようになりました。その時のてんぐのけんかが、
ものすごかったので今でも、神野山は、岩がごろごろしているし、
、伊賀の山は、はげ山が多いtいうことです。
終わり